幻想少年録
第6話
- 元来た階段を上り、地上階に戻ってきた俺と魔理沙。
- 鍔迫り合いの音が聞こえてくる。
- 俺は音のする方に走り出す。
- 魔理沙「ちょ、ちょっと待ってくれだぜ~!」
- だんだん音が大きくなる、目の前には大きな扉があった。扉が開いていて、中の様子が見える。
- 覗くと、霊夢ともう1人が戦っている。
- もう1人はどことなく、先ほど地下で戦ったフランドールに似ていた。年齢も同じくらいだろうか。
- ただ、こちらはドアノブカバーのようなナイトキャップの下に青みがかった銀髪と、背中にはコウモリのような羽、白いブラウスにも白くて長いフリルスカートにも、その真紅の瞳と同じくらいに真っ赤なリボンがあしらわれていた。
- ビームサーベルのように光る、真っ赤な長槍を霊夢に振り下ろすと、霊夢は御祓い棒で弾き返し……。
- ザラウ「(どうして御祓い棒で弾き返せるんだ……)」
- しかし、霊夢は右肩を庇っていた、右肩にはナイフが刺さっていた。
- ふと横を見ると、レミリアの脇に、銀髪のメイド風の女性が突っ伏して倒れていた。
- ザラウ「これ、霊夢さんが圧倒的に不利ですね?」
- そんなことを呟くと、魔理沙が堪らずに飛び出していく。
- 霊夢「!?」
- 魔理沙「お前ばっか、ずるいぜ!」
- レミリアに突撃していく魔理沙。
- ザラウ「(ば、馬鹿だ……! あ、うん、馬鹿だな)」
- レミリア「あらあら、鼠がもう1匹増えたところで、この吸血鬼のカリスマには勝てないのよ?」
- でも、さすがに2対1では勝ち目がないと思ったのか、飛び立つ。手にしていた真っ赤な長槍で、天井を破壊し、さらに上へと飛び上がる。空は真っ赤な霧に覆われた空が見えた。
- ザラウ「(あ、これ無理だ、追い付けないね)」
- 時折「俺ってもしかして人間じゃないのかも?」と思うが、実のところ、今は”空を飛ぶ”能力は発現していないのだ。
- 霊夢・魔理沙「待てー!」
- そう言って、霊夢は気流に乗るようにふわりと飛び上がり、魔理沙はどこからともなくほうきを出してまたがると、瞬く間に空の彼方に消えていく。
- ザラウ「置いてかれたー……、ん?」
- どうしようかと下を見たら、変な物が落ちていた。まるでネジのような形で、赤色と藍色に光り輝いていた。手のひらに乗るほどの大きさのそのネジを、思わず手に取る。
- 手のひらのネジが空中に浮かび上がると、
- -------ドスッ!
- 刃物で刺されたような衝撃と痛みが、左胸の心臓の辺りに感じて……。
- その頃の、紅魔館の上空では、霊夢と魔理沙が、レミリアと戦っていた。
- 霊夢「ちょっと! 大人しく退治されなさいよ!」
- 言いながら霊夢は御祓い棒で殴ろうとするのだが、レミリアは難なくかわす。
- 魔理沙「まったくだぜ!」
- 霊夢の後ろから、いくつもレーザーを放つ魔理沙。そのレーザーも、レミリアはまるで予測していたかのようにかわす。
- レミリア「ふふ、そんなの当たらな…………!?」
- レミリアは何かに気付いて下を見る。次の瞬間、下から、紅魔館のエントランスから、魔理沙のマスター・スパークの何倍もの太さの、紫色に輝く光の柱が、轟音と共に、レミリアを直撃した。
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