Kuu Takahijiri's Novel 1
アーリンの日記
その1
- ○月×日
- きょう、シャーマンになるために、冒険の旅に出た。冒険やって経験ガンガン上げるのがてっとり早そうだから。がんばろっと!
- あと、ついでに、にいちゃんの消息もすこし探そうと思う。ツイデ、に、ホンノチョット、消息探そうかなと思っただけ。もし会ったら文句のひとつも言ってやらなきゃ、とは思ってるけど。
- まずは、アウグステ軍に入ることにした。隊員募集の張り紙、内容は面妖だけど、ほとんど制限なしって魅力的。ほかもあたってみたけど、いくら20歳(はたち)だって言っても、みんな子供あつかいでとりあってくれない、ムカツク!
- 訓練とかやれば、順当にレベル上がるだろうし。あの張り紙、けっこうあちこちに張られてたみたいだから、いろんなところから人があつまりそうだし。レベル上げ&人探しにはもってこいよね! あんまり怪しげなところなら、抜けちゃえばいいし! で、入団するために、アウグステに行くことにした。
- ちょうど商人さんもアウグステに行く予定があって、ほんとラッキー。船もおもしろいけど、早くアウグステにつかないかな。『黄金のガメルカエル君』ってどんなだろう、楽しみ。
- ○月×日
- きょう、アウグステについた。『黄金のガメルカエル』ゲット出来るかな♪ って思ってたのに! そうあまくなかった。チッ。
- 即行船からおりて、軍へ向かおうとした。けど、どこかわからなかった。募集の紙にも書いてないしで、そこらへん歩いてる人に聞いてみた。ほとんどの人がアウグステ軍自体を知らない。さすが面妖な張り紙出すだけある。ヤバそうなら入るのやめよ、と思った。
- とりあえず、アウグステ軍を知ってる人に会えた。間に合うようにはついた。アウグステ軍『白の三日月団』、アウグステの南東、街外れにあった。歩いて2、30分って言われたけど、それよりもかかったと思う。そういえば、いつも行ってた街以外の街って初めて。今度時間のあるときまわってみよっと。
- 軍ではもうとっくに入団の受付始まってた。かなり並んでて00人以上はいたかな。ワタシよりあとからきてる人もいた。受付したけど、結局『黄金のガメルカエル』ゲットしそこなった。場所探すのに時間くったからなー。見るだけでも見たかったのに…。
- 受付の人は、キビキビした感じの、きれいな女の人だった。そういえば、ちょっとだけオランなまりが入ってたかな。ほんといろんなところから人が来てるんだなー。受付のお姉さんみたいなきちんとした感じの人がいるならとりあえずは大丈夫かな、と思ったので受付して入団テストを受けた。
- テストって初めて。あの張り紙からして、テストも形式上だろうけど、なんかドキドキする。ま、落ちたら落ちたで、べつな手考えよっと。
- 合格発表は明日の朝。ここの仮宿舎施設を使っていいそうなので、泊まることにした。ほかのみんなも泊まったみたい。休憩所にいってみたら、いろんな人がウヨウヨいた。ここ落ちたら出てくから今のうちに、にいちゃんのことを聞いてまわってみた。何人かに聞いてみたけど、にいちゃんに関する情報無し。行った先々で地道に聞いてまわらなきゃ、わからないか…面倒くさいなー、
- 思い出した時、聞いてみることにしようかな。うん、そうしよっと。
- 明日の朝発表なので寝る。
- ○月×日
- 朝、発表があった。合格だった。とりあえずホッとした。『カンブコウホセイ』あつかいになった。
- 『カンブコウホセイ』ってなんだろ? ま、いいや、今度聞いてみよ。
- 入団希望者、全員合格だった。名前と年を書いてあれば合格だったそうだ。試験官が言うには「自分の名前と年齢を知らない奴は我が隊には入れない!」
- …………………。軍隊ってこういうところなの? ほんとがまんできなくなったら抜けよっと。
- 発表後、入団式みたいなのをやった。結局200人くらい今回入団したのかな。アウグステ八世に謁見した。遠目だったからよく見えなかった。フルネームが、ファル・H・アウグステ八世。当年10歳の女の子だそうだ。軍最高責任者はタラス。筋肉ムキムキ。副責任者兼秘書はサーラ・カシオン。あの受付のきれいなお姉さんだった。
- 八世が言うには、っていうより、よく聞こえなくてかわりにタラスが再度デカイ声で言うのしか聞こえなかったけど。えっと「しゅけん独立まで訓練にはげみ、独立のちからとなってほしい」だったかな。
- そのあと、武器のたぐいを配布された。装備一式もらった。カンブコウホセイということで銀製の武器をもらえた。ラッキー。でも、筋力そんなにないから、銀のダガーしかもてなかった。それ以外たいした装備でなかったけど、もらえる物はもらっとこ。まだ魔術師じゃないから、魔晶石はもらえなかった。チェ。
- とりあえずカンブコウホセイってことで、補佐というかパートナーかな、がついた。
- 『ロッツ』22歳(?)の人間の男の人。背高い、やせ気味に見える。ロッツは今はいちおうシーフ目指してるそうだ。容姿は並み以上。にいちゃんとは違う感じ。まあ、にいちゃんはお母さん似だったから判断基準にはならないか。ロッツ、サーラさんとかにはすごく優しい、優しい人に悪い人はいないと思う。きれいなお姉さんが好きなのは一緒。ま、なんとか一緒にやってけるでしょ。
- しっかし、この軍、正式じゃなかったか。って正式どうこうより、アウグステって独立してないのか。たしかオランだっけ。独立でもなんでも、やりたい奴がやればいいと思うけど、ワタシそこまでアウグステに思い入れなんて無い、ま、オランにも無いけど。軍隊なんて、そうそう入る機会なんてないし、どんなところか経験してみたい気もする。どーしよーかな。受付のお姉さんはきれいだし、とりあえず、続けてみよっかな。
- 明日から訓練をはじめるそうだ。
- もう寝よっと。
- ○月×日
- 軍の訓練がはじまった。入団時にシャーマン目指してるって申請したから、主にシャーマンの訓練をした。
- 眠いからもう寝る。
- ○月×日
- 訓練。だいぶなれた。ひまだったので、飲んでみた。たくさんは飲めなかった。けどけっこううまかった。
- 寝る。
- ○月×日
- 3ヶ月間の基本訓練がおわった。知力+1。精神力+1。セージレベル1。シャーマンレベル1になった。3ヶ月間だから計2400ガメルはもらったはずなんだけど、訓練中、けっこう使っちゃった。にいちゃんのこと聞いてまわるのに、おごりまくったし。訓練中、街に出られなかったからひまつぶしに購買部とか飲食場所でいろいろ………んー、使っちゃったものは使っちゃったんだし。ま、良いや。
- 訓練後、配給された武器以外で欲しければ、自費で購入していいって言われたけど、シャーマン目指してるし、筋力そんなに無いし、支給されたので十分だし。ちょっとお金使い過ぎたからやめた。
- ○月×日
- 基本訓練終って待機期間。なのに、外出許可が出ない。ここについてから、ろくにアウグステの街まわってないから見てみたいのに。タラスって頭かたい。
- 白の三日月団以外にも似たようなのがあるっていう噂を聞いた。ロッツに聞いてみたら『青の月光団』だそうだ。タラスに「むこうは孤児をかつぎあげてるが、こちらは正当なお方だ。余計なことを聞くよりも、訓練をしろ」と言われたそうだ。もしかしてタラスってバカ? そんな一方の話だけ聞いて信じるわけないじゃん。
- ま、どうでもいいけど、ひまだ。
- 抜けてみよっかな、と、ついポロッと口に出しちゃった。ロッツに聞かれた。止められた。なので、いちおうやめておく。パートナーなので、ロッツの意見は聞いておこう。っていうか、万が一連帯責任になったら悪いし。そいうところもタラス、頭かたそうだからなー。
- でも、やっぱり、つまらない。
- ○月×日
- きょう、ロッツとともに命令を受けた。『アウグステ大稲妻作戦』。アウグステ商店街役員依頼『最近アウグステの地下排水溝に大量の灰のような物の不法投棄が行われているらしい。どうにかしてほしい』、地下排水溝の大量の灰のような物の不法投棄を調べ、駆除するよう命令された。しかし、いったいこれのどこが『大稲妻作戦』なんだろ…。
- サーラさんにくわしい説明を受けた。地下排水溝の地図はなし。排水はいったん地下タンクに受け入れられてろ過され海の方へという話だそうだ。ひろい範囲に渡り探索必要。約2週間程入ることになると予想される。必要なものは軍で準備をし、探索向かうこと。
- ロッツとともに必要なもの、必要と思われるもの全部を準備。どういうものが必要かわからなかったので、ロッツにほとんど任せた。
- 明日に備え、寝る。
- ○月×日
- きょう出発。出発する前に、八世に謁見した。毎度のことながら、良く見えない。チェ。
- 「気をつけて」と言われた。たしかに『灰のような物』が実際はなんなのかわからないもんなー。気をつけていこっと。
- 白の三日月団から一番近い、飲み屋の繁華街の穴から地下へ入った。
- 臭い。
- しばらくしたら、鼻がマヒしてにおいわからなくなったけど。帰ったら、すぐお風呂に入ろっと!
- この中に2週間もいるのかー、におい、落ちるかな…。
- ま、とにかく、ロッツを先にして進んだ。中はけっこう広かった。広い方が古く、枝の方、細い方が新しい。古い方は2、300年くらいかな。すごい大きい石で精巧に出来てる。新しい方は3、40年くらいかな。いろんな大きさの石で出来てる。ちょっと雑。アウグステって出来てから100年くらいよね。アウグステ自体が、もともとなにかあったところを利用して出来たのかな??
- 地図がないから、迷わないよう道に印を付けて進んだ。ロッツもシーフ技能があったのを忘れてた。ロッツも印を付けてたので、途中からロッツに任せた。
- 広い方の壁に模様が書いてあるみたいだったので、ロッツと一緒に調べてみた。古代語がところどころあるみたい、あと、なんなのかわからないものもあった。でもロッツもワタシも古代語読めない。チッ。
- 灰の形をした片鱗を見つけた。調べてみた。確かに灰は灰だけど。訓練中教わったやつだ。これ、集まってる状態で人近づいたら人の形を取るんだけど、あまりにも少量だったから、そこまでいかなかったみたい。アッシュ。ゲル状でないからまだいいけど、こいつの攻撃って生理的に嫌。モンスター化しなくてちょっとホッとした。灰の不法投棄でないことがわかったけど。少量なら大丈夫で、これ、また一ヶ所に集めるとモンスター化するみたい。まわりを探してみたら、ほかにも灰の少量が点在してた。小分けにして袋詰めした。全部持って歩くの面倒だなーと思ってたら、
- ロッツ「報告のため一袋持ってって、残りの袋はあとで軍の奴等に運んでもらえばいいんじゃないか? 少量なら、置いといてもモンスター化しないから害はないんだし。念のため、注意書きして置いとけばいいだろ」
- ナイスだロッツ!
- ロッツに注意書き『開けないで下さい。これはアッシュです。1つにまとめないで下さい』と書いてもらった。注意書きを張り付けた。1袋だけ持って、残りはあとで軍の人たちに運んでもらうことにした。1袋はロッツに持ってもらうことにした。
- とりあえず、疲れたので休む。
- ○月×日
- 灰は見つけられたけど、不法投棄かどうかわからない。まだ調べなきゃいけない。ということで、先へ進んだ。
- 途中モンスター化した野犬にあった。攻撃的。逃げたところで足の速さじゃかなわないから、とりあえず1匹攻撃。犬って群れで行動してるのか、逃げてった。ロッツもワタシも怪我なくてよかった。
- でもモンスター化した野犬にあうなんて、この排水溝どうなってるんだろ。
- ○月×日
- とくになにもなく先に進んだ。
- 入ってから1週間くらいたったのかな。ずっと暗いから、時間感覚くるうなー。排水溝の終点についた。
- この排水溝、モンスターの巣になりつつあるのかな、という感じだ。ロッツも似たようなこと思ったみたい。
- 上につながってる階段があった。階段のぼっていくと、石畳のかなりただっ広い空間にでた。暗かった。上に子供が通れるくらいの穴が1つあった。そこからつたがからまって出てて、ロープ代りに入れるみたいだった。上に気を取られてたら、なにかおっきなものが近付いてきたみたいだったので、とりあえず身を隠した。目の前を巨大なミスリルゴーレムが通り過ぎてった。すごいあせった。なにもなくて良かった。
- 軍に戻ることにする。
- ○月×日
- 帰り道の途中、念のためアッシュの袋を確認した。ロッツが、1コ足りないんじゃないか? と言う。ちゃんとつくったはずだし、そんなことないでしょ? と言ったけど、それでもロッツ「32コあったはずなのに」
- 数え間違えたんじゃないと言っても、まだロッツ「32コあったはずなのに」ってブツブツ言ってた。
- 聞こえないふりして、さっさと進む。べつにいいじゃん。もし1コ足りないとしても、1コなら害ないんだし。そろそろ我慢の限界。いちおう命令はたしたんだし。早く帰って、お風呂に入りたい!
- ぱっぱと帰ろう。
- ○月×日
- 軍に戻る。サーラ副官に今回の件を報告。軍の報告って言葉使いかた苦しくて面倒。途中からロッツに任せた。ミスリルゴーレムの話で、サーラさんの顔色がかすかに変わった。なんだろ。ミスリルゴーレムについては他言無用って言われた。なにかあるんですかって聞きたかったけど、ロッツに目配せされた。命令だから聞いたらダメなのか。チェ。
- 八世に謁見した。「任務成功おめでとう。引き続きわが国のためにがんばって下さい。怪我等なくてよかったです」と言われた。毎度ながら、良く見れない。声はかわいいんだけどなー。直視するのダメなんて。タラスのケチ。
- シャーマンレベル2、冒険者レベル2になった。
- まだまだだなー。
- ○月×日
- においがまだとれない。
- へこむ。
- ○月×日
- 基本訓練おわってからちょうど1ヵ月たった。よくもったなー。
- 司令官室にロッツといっしょに呼び出された。タラスとサーラ副官、2人ともいた。今回特別任務だそうだ。極秘任務を受けた。
- サーラさんから任務の詳しい説明を受けた。タラスもなにか言ってたけど忘れた。
- 装備をそろえて出発する。
- 極秘なので、直接聞いてまわることはできない。面倒な任務だなー。
- ロッツと話しあった結果、極秘のため人伝てによる情報収拾はできないので、まずは文献や歴史、盗賊ギルドなど他情報形態から調べる。まず手始めはそうすることにした。なるべく早い方がいいのだから、分担して調べ、後で合流することにした。
- まずはロッツは盗賊ギルドをワタシは魔術師ギルドを当たることにした。
- 魔術師ギルドに行ってみた。ろくな情報は得られなかった。無駄足。ちっ。
- 各ギルドなどはオラン出向所だった。一世について高位の魔術師だったという噂は残ってるが、なんの魔術師だったかはわからないそうだ。アウグステの館に行った方がいいと言われた。アウグステ中心にあるそうだ。館に入るには、オラン軍の許可が必要。ここでも申請手続きの代行をしているが、2、3週間くらい時間がかかるそうだ。さすがお役所仕事、トロい。でも、一応申請を頼んだ。申請書を渡された。必要事項を記入して持っていけば、明日手続してくれるそうだ。
- ロッツの方は、明日、港の方で情報屋と会う約束を取付けたそうだ。かかった経費は、あとで軍に申請しよう。
- こんなことなら、ある程度必要経費として事前にもらっとくんだった。
- ○月×日
- 魔術師ギルドに行く前、アウグステの館を外から見てみた。実際の館は別にあって…、とか思ったんだけど。けっこう年代物だった。3階建てのちいさな城みたい。アウグステ出来てからずっとあるそうだ。けっこう警備厳重そう。警備はオラン軍みたい。オランが出向所として使ってるそうで、人の出入りはある。近くを歩いてる人に聞いてみてもたいしたことは知らないみたいだった。
- とりあえず、きのう頼んだ手続きしに魔術師ギルドへ行った。申請理由は「アウグステの歴史学者になるため、アウグステの歴史を調べたい」とした。きのう聞いたことを再度聞いてみたけど、無駄だった。
- しっかし、この街自体がわからないから、調べるのも大変。どこになにがあるのかわからない。
- 最初の任務が商店街役員からの依頼だったのを思い出し。商店街へ行ってみた。会長さんに紹介された。服屋のトメゾウさんというそうだ。人が良さそうな茶飲みじいさんみたいだが、見た感じはただの小汚いじいさんにしか見えない。
- ちょっとひいた。
- けど、なにしろほとんど情報らしい情報がない。すこしでもいろんな情報がある方がいいのだから、と思い直し。気を取り直して、アウグステの歴史に関して知っていないかどうか聞いてみた。
- 会長さん自体は、四世からしか知らないそうだ。当時は、まだオランの介入はなし。しかしあの時オランは攻めにきていたそうだ。
- なぜ今のような友好関係になったのか? と聞いてみた。会長さんが言うには、攻められないなにか理由があったのではと思うと。会長さんのおじいさん、ひいじいさんも街の創始の頃からいるにも関わらず見たことはない。一世が統括していたのだが、二世からしか見た者はいない。一世には、誰も会ったことがないという噂。オランの介入が入ったのは四世から。噂だが、ここはかつてノーライフキングの出生を拒絶した大地だそうだ。あとはドラゴンスレイヤー伝説。たぶん、このふたつについて、オランはアウグステに借りがあるのではないかと会長さんは推察してるそうだ。会長さんが知っていることはこのくらいだそうだ。
- けっこういろいろ知ってるなー。最初小汚いじいさんとか思って悪かったかな、と思ったのも束の間。「お役に立てなくて光栄ですよ。ばあさん、飯はまだか」………一抹の不安を感じた。
- とりあえず、ロッツとの待ち合わせの場所に行った。ロッツの方は情報屋と接触し情報を入手できたそうだ。またさらにお金がかかったそうだが。アウグステの生き字引、魔術師トイ・ホイ・クワ。老人。晩年をすごした町はオートル。死んだとの噂。住んでいた家は、まだオートルにある。例の件についてはっきりした情報はない。が、トイ・ホイ・クワがなんらかの形で所持してたという情報がある。オートルのとある酒場に行けば老人について手がかりがつかめるだろう、ということだった。オートルへは、2日ほどでいけるそうだ。
- とりあえず、オートルに行ってみることにした。
- ○月×日
- オートルについた。夕刻近いので、宿探しをした。近くを歩いている人に聞いてみた。宿としては『眠れる山羊亭』食事としては『盆地のふぐ亭』だそうだ。ついでに、トイ・ホイ・クワについて聞いてみた。ここでは『先生』と呼ばれてるみたいだ。2、3年見てないそうだ。住んでた場所は知らないが、あしげしく通っていた酒場は『飼い慣らされない羊亭』。そこへ行ってみることにした。
- 飼い慣らされない羊亭。黒髪の30歳くらいの人間の愛想のいい女将さん。ロッツの目が……いや、良いけどさー、今そんな暇あると思うのかロッツ。女将さんに、お酒を出しているので武器は入口に置いておいて欲しいといわれた。信用して取敢えず置き、女将さんに話を聞いた。女将さんは、アムさん、代々店主はアムと名乗る、この人は短期の代打だそうで、3代目に3年間という約束で店を任されてるそうだ。
- トイ・ホイ・クワについて聞いてみた。聞かれるの今日で2度目だそうだ。誰に聞かれたのか聞いてみた。あんまり仲の良くなさそうなアベックだったそうだ。他にも聞いてまわってる人がいるって、なんだろ?
- 『先生』は、最近この2年くらい見てないそう。世話役のおばさんと一緒に住んでたそうで、おばさんはまだ家にいるそう。家族はいないようで、奥さんとも死に別れたみたい、血ビールが好きだったそうだ。トイ・ホイ・クワの家を教えてもらう。途中の遺跡の付近、陽が暮れたらモンスターが出るから気をつけてと言われた。
- なるべく早く任務をしなきゃいけないし、まだ陽は暮れてない、行こうと思えば行ける。トイ・ホイ・クワの家に行くことにした。
- 家には、世話役のおばさんしかいなかった。おばさんは留守を預かってるだけ。3年程前に旅に出て戻ってないそう。昔の知り合いに会いに行くような話をしていたが、どこに行ったかはわからないそうだ。おばさんに頼んで書斎を見せてもらった。ほとんどの書物、ソーサラー文字なのでワタシたち読めない。どれがアウグステの資料なのかわからなかったので、とりあえず全部見るだけ見てみる。なかの1冊。トイ・ホイ・クワが描いたのかな、挿し絵があった。
- 例のだ。やっと手がかりらしいものにたどりつけたー。
- その絵にもいろいろ説明書きがされてたけど、読めない。でも、アウグステの歴史について調べてたんだから、おそらく例のだろう。おばさんに絵を見せて聞いてみた。トイ・ホイ・クワが杖代りに使ってたそうだ。いなくなる前の2年前くらいに見なくなった。どこかに置いてきたのかもしれないそうだ。この近くの遺跡に良く行ってたかどうか聞いてみた。家に居るときは書斎にこもっていることが多かったそうで、遺跡には行ってなかったと思う、と言われた。
- そういえば。お父さんもお酒のみ過ぎるとよく忘れ物してたなー。でも忘れるのたいした物じゃなかったし、今度でいいかとか言ってたな。トイ・ホイ・クワって、血ビールが好きなのよね。で、良く行ってたのが、飼い慣らされない羊亭。しかも、あそこ、武器の類お店に預けなきゃいけない。あの店なら預けたままでも大丈夫そうだし。忘れても、後で取りにくればいいか、って思ってもおかしくない。ということで、飼い慣らされない羊亭に戻って、探してみることにした。
- 飼い慣らされない羊亭では預かってる武器のたぐい、忘れ物あってもそのままにしてあるそうだ。店がおわっても残ってるの忘れ物。忘れ物調べてもいいかどうか聞いてみると、いいそうだ。店じまいまで待った。ほかにも残ってるアベックがいた。たまに物置いてある場所見てる気がした。この時は気のせいと思った…。店じまい後、武器置き場の物を探してみた。
- どれも似たように見えた。探してる間に、あの絵とよく似たのを持っていかれた。あのアベック。案の定、女将にかしてほしいって頼んでるし、あのアベックの物じゃない。多分あれが、トイ・ホイ・クワのものね。例の物の可能性が今一番高い。
- 任務なのに、よくわからないアベックに持ってかれた。トイ・ホイ・クワに持ってかれるならまだしも。しかし。人の物を盗むのは良心が痛い。あーでも、もともとはあのアベックの物じゃないか。
- いちおう、任務は任務だしなー………、とりあえず、身の危険がないようなくらいで、盗れるかどうか調べることにしよっと。ということで、ロッツに調べてきてもらう事にした。取れるかどうか、ちょっと見てきて、無理そうだったら、逃げて来るよう言っておく。
- 向こうファイターとソーサラー、他にも人がいるかもしれない。任務は任務だけど、たかがあんなぼろいのに命までかけるのは惜しいし。取るの無理そうなら無理でそう報告しよう。はぁ。ワタシ独りなら、任務どうこうなんて考えないな。こういう時のためのパートナーなのか、…ちっ、タラスめ。
- やっぱりむこうも警戒してたみたいで、部屋の中、ファイターの男がスタンバイOK状態で起きてた、………無理ね!!
- ということで。アウグステに戻ることにした。できることはやったし。あとどうするかはサーラさんに決めてもらおっと。
- ○月×日
- オートルを出てアウグステに向かった。
- しっかし、あの人たちもアウグステに向かってるみたい。道中、いちおう、どんな人なのか遠くから観察。しかし良くわからない。あのアベック。仲良いんだか悪いんだか…。