Kuu Takahijiri's Novel 6
アーリンの日記
その6
- 途中で、ロッツ「ちょっと待て。進行方向から血の匂いがする」
- シルビス「警戒しよう」
- ロッツ「警戒しながら、少しずつ進むか。戦士、前に出てくれ。あ、俺も前に出るわ」
- クリス「大丈夫。ミスリル銀のちょんちょんがあるから」
- ロッツ「俺もミスリル銀のダガーあるしな」
- クリスとロッツが先頭に立って進む事にした。
- クリス「一応念のためエンチャントウェポン掛け……掛けなくて良いや」
- そのミスリル銀の剣はそれ以上はどうにもならないもんね。その剣を盗られない限り、強いよねー、と思った。
- 警戒しながら進むと、ゴブリンの死体を発見した。
- 噛み殺されたようだ。
- クリス「あれ、これこないだ会った奴だよな。得体の知れない奴」
- シルビス「うん、眠らせた奴」
- ロッツ「……ホブゴブリンって言うんだよ」
- クリス「へー、そうなんだー。あれ?? 死んでるのか? 俺達は眠らせただけだったよな?」
- シルビス「噛み殺されてるよ」
- 何に噛み殺されたんだろう。良く見たら、噛み殺されたって言うより噛み砕かれたって感じだった。
- 喰い散らかされて、内臓デロデロデロ。
- クリス「ファナ見るな」
- ファナ「湯気が出ています」
- ファナ、凄く冷静だね…………、と思ったけど、違った。多分こういうグロイの初めて見た所為だろう。冷静な口調だったけど、ファナ、固まってた。
- ロッツ「一匹の方は途中まで排水溝の水中に引き擦り込まれようとしているな。海洋生物かな。けど、傷の形が噛み砕かれて引き裂かれている。変だな。大量の生物が集まって、獲物を奪い合いしたのかな」
- シルビス「鼠?」
- クリス「嫌な感じだな」
- ロッツ「ジャイアントラット? でも、ホブゴブリンの方が強くなかったか?」
- シルビス「いや、寝てる所を襲ったら、と」
- クリス「でも抵抗は出来るよな」
- ロッツ「死体に群がる何とかってのもあるよな。でも、寝てる所を襲われたら」
- でも、いつぐらいに殺されたんだろう
- クリス「血の匂いがするくらいだからな」
- 調べながらロッツ「これは……生命反応がある! 生きながらに引き裂かれたようだ」
- シルビス「じゃ最近?」
- ロッツ「血がまだ凝固してない」
- クリス・シルビス「ついさっき??」
- げーと思わず引きつっちゃった。
- ロッツ「ああ。紫斑がまだ出てないから、死後一時間って所かな」
- クリス「って事は、まだこの近く、そこら辺に居るかもしれないのか?」
- ロッツ「あぁ、かもな。もし、それが捕食型生物だったら潜伏して俺達を待っているかもしれない。待ち伏せ。もしくは俺達の物音に気付いて、この近くに近付いて捕食する機会を待ってるかもな」
- クリス「この2体のホブゴブリンで足りないって事か」
- ロッツ「まあとにかく、この辺にその敵が居るって事だな」
- クリス「先頭行くよ」
- ロッツ「後ろにお嬢ちゃん達下がってて」
- シルビス「はぁーい。頑張ってねー」
- クリス「シーフと並んで行かないと」
- ロッツ「こっちのシーフは不向きだから。この人の場合、ミスリル銀の武器持っててもあんまり強いモンスターが出てくると多分当たらないと思う」
- うん。シーフ技能大して上げてないから。
- クリス「じゃあ、ロッツ」
- ロッツ「良いけど……その剣、怖いよ。近寄りたくないな。1m位離れていても良いか? 長いから」
- クリス「取敢えず、戦闘の時は即行逃げてくれ」
- ロッツ「攻撃されたら逃げた方が良いかもな。とばっちり食らわない為に」
- クリス「さて、少しずつ進むか」
- ドブというか排水溝から、何か『ペチャ』って言う音がした。
- 水路の幅一杯、巨大な何かがこちらへ向って泳いで来ていた。
- シルビスと私その影を見て「ヒュドラよ(だ)」
- モンスターレベル10、知名度13、敏捷度9、移動速度12(水中20)。
- ドラゴンの亜種。9つの首を持っている。って事は、攻撃が1度で9回来る。ついでに言うと、首を切っても5分後くらいには再生する。ただし、首が落ちた直後に炎か電撃でダメージを与えれば再生しない。
- ロッツ「モンスターレベル10だと?」
- クリス「勝てないよ、レベル10なんて」
- シルビス「でも君の武器は当ればデカイ」
- クリス「そうだけど」
- ロッツ「取敢えず、当てに行こう。エンチャントは要らないよ。勿体無いから」
- 魔法攻撃は先制出来そうだった。
- ロッツ「変な魔法使わないでくれよ? 相手は水の中泳いでいる事を考えてくれよ? ちなみに、下水でもウンディーネ呼べるよな。気分的には嫌だけどな」
- センスオーラ。火、水、風、植物の精霊が居た。火はランタンで、水は排水、風は空気で、植物って……? 藻か何かか? 藻じゃ、ホールドやっても無駄かー。魔法攻撃何が良いかなー。シャーマンレベル4だから、攻撃系、適当なのが無いや。戦闘の補助的なの……スリープかな。でも9つ首あるから、9回掛けるのかぁ~? 面倒臭ーと思った。
- ロッツ「攻撃してくる時は水中から出てくるだろうから、胴体に向ってダメージ拡大でファイア・ボルトでも掛けてくれ」
- 解ったーと、ファイア・ボルト、ダメージ5倍掛けでやってみた。けど、ダメージ与えられなかった。むー、流石レベル10、強いなーと思った。
- クリス胴体狙い、ロッツ首狙いで攻撃。けど、ダメージ0。
- シルビス、ライトニング掛けたけど、ダメージ0。
- 胴体に攻撃に行ったクリス、ヒュドラの集中攻撃を受けた。9つの首のうち3つからの攻撃が当った。死にかけた。
- クリスにヒーリング掛けて、傷は完全回復させた。
- クリス、「ふー、ありがと」と、あっさり立ち上がりヒュドラの方へ向っていった。
- ロッツぼそっと「なんかすげー、クリスって」
- ……私もそう思った。
- クリス「また集中攻撃受けるの嫌だから、首切りに行くかな」
- シルビス「クリスの武器、威力デカイから、当れば、良いのよ」
- クリス「前回は必ず当ったんだがなー」
- シルビス「そんなもんだ」
- ファナ「良い事もあれば悪い事もあります」
- クリスぼそっと「10歳のファナに言われたくない」
- クリス、胴体めがけて剣を振るった。
- 剣で切った瞬間、ボッと炎が出た。クリス自身も驚いたらしく「な、なんだこりゃ??」
- ヒュドラ即死。焼死。
- その剣、一体ナニ?
- シルビス「おぉ、燃えてる」
- クリスのミスリル銀製の剣、ファナに巻いてもらった布と植物性によって変った効果で、炎の追加効果が付いていたみたい。センスオーラで植物の精霊がいたのはその所為みたいだった。
- ロッツ「ファナに巻いてもらった布の所為かもな。俺達のは只の布だから、追加効果何も無しか?」
- でも、緑がかっているから、植物関係の追加効果何かあるかもね。ただ、まだ使ってないから解らないけど。
- クリス「さっき草の精霊の力って、それか」
- シルビス「そうだねー」
- ロッツ「しっかし、一撃の元に葬り去ったな」
- シルビス「ほっとしたー」
- うん。取敢えずほっとしたけど、何でこんな所にドラゴンの亜種が居るんだろう。
- シルビス「うん。取敢えず、謎解いてないからー」
- ロッツ「そうだな。火の粉は払ったから、続きやるか」
- けど、今ので、謎解き何処までやったか飛んでしまった。
- クリス「取敢えず、数字だよな」
- シルビス「数字ー」
- クリス「向こうに行くにつれて右側は減ってって、左側は増えてってる」
- ロッツ「それがどれくらいの値ずつ増えているか減っているかは解らない。取敢えずもう少し歩いて見ていくか」
- シルビス「見ていこうか。読んでくね」
- ロッツ「頑張れ。俺は隣で危険感知してるよ」
- どんどん読んでいくと、右側の壁で、数字の後に『年』って書いてあるそうだ。
- ロッツ「って言う事は、年号か? その下に何か書いてないか? 年表みたく」
- 左側の壁、数字は『3』で、『昼』って書いてあるそうだ。
- シルビス「どういう意味だろう。歩いてきた形跡? 何かを調べた跡? それとも本当に年表か?」
- 右と左の壁の違い、何かあるかなー。
- クリス「『千年の野望』『一夜の夢』が関係してるんじゃないのか?」
- ロッツ「さっき、右は百万から始まって9十9万9千ナニナニ、左は1から3、とか、飛び飛びだよな」
- さっきと同じくらい進んで読むと、左は『5』の『昼』。左は、『朝』、『昼』、『夜』、繰り返していた。
- ロッツ「これって、『1』『夜』って所と、『1000』『年』の所を探せば良いんじゃないか?」
- クリス「そうだな。探そう!」
- どんどん調べながら進んでいった。
- 『1000年の』という所があった。その遥か斜め後の方に『1の夜』っていうのがあった。
- ロッツ「この辺が怪しいな。調べよう」と調べてみたが、壁、歩いている通路自体には、何の仕掛けも無かった。天井も同じだった。
- シルビス「下水」
- ロッツ「下水道の中? ちょっと待ってくれー」
- シルビス「だって、今歩いてる所無いんでしょ? じゃあ、下水よね」
- ロッツ「え゛ー」
- クリス「シャーマンで汚水を真水に変える事出来ないか?」
- うーん、ピュリフィケーションで出来るけど10リットルの水に対してだからー、これ、流れているからあまり効果持続しないと思う。
- ロッツ「凄い範囲が狭いな」
- だから一瞬真水に出来るけど、すぐ汚水になる。
- クリス「堰き止めなけりゃ出来ないか」
- ロッツ「臭い取るまで効果が……あるか。あるけど、魔法の無駄使いだな」
- ここって、どの位の深さかな。
- シルビス「ヒュドラが泳いできたんだよね」
- ロッツ「って言う事はかなりの深さだよな」
- そうだよねー。誰か泳げるの? ちょっと待ってー、この汚水の中泳ぐの嫌。
- ロッツ「でも、水中呼吸と、あ、でも、臭いは嫌だ」
- クリス「嫌だ。俺泳げないよ、って言うより、鎧着けてるから沈んでく。無理」
- シルビス「私も泳げない」
- 水中呼吸可能にする魔法、ウォーター・ブリージング出来るけど。
- シルビスに「でも、入りたくないでしょ」
- うん。
- ロッツ「入りたくないよな」
- 誰かに掛けて、入ってって感じかな。
- クリス「ヲイ、アーリン自分で行け」
- だったらクリス行ってよー。
- ロッツ「海とからなら良いんだけどな」
- 排水だから、すごく汚れていて何が居るのか見えないのが嫌。
- 皆、下水に入りたくないのは同じだった。
- クリス「汚いし、臭いし、溺れるから、嫌だ」
- ロッツ「………………わ゛かったよ。入るよ」
- クリス「ちょっと待て。本当にそこにあるのか、まず調べた方が良くないか?」
- 水の流れ見てロッツ「ちょっとあそこの流れが他と比べて早く見えるな」と指を差した。
- この排水溝は本道だから幅が広いのだが、その排水溝の流れ、割とゆったりとした流れなのが、一部、排水溝を横断して帯状に流れが速く見える所があった。
- 何処かに穴があって、そこに流れてるのかな?
- ロッツ「いや、それとは違うみたいだ。そこで段差があるか高さが違っているか、かな…………いや、違うな、そういう場合は少し泡立ったりするから、流れが速く見えるだけで」
- と言って、ロッツ排水溝の方へ近付いていった。
- クリス「でも、どれくらいの深さかな」
- クリス、剣で深さ計ってみてよ。クリスの剣長いから。
- クリス「解った。でもミスリル銀でか。もったいねえなー」
- と言いながらも、剣で計ってくれた。
- そこだけ、帯状の所だけ、石畳で浅かった。だから、流れが速く見えたみたい。深さが大体3cmくらい。他は深い。
- ロッツ「だからか。水の深さで、他は暗く見えて、そこだけ明るく見えたからか」
- 取敢えず、後調べてないのは下水の中だけ。
- シルビス「頑張って」
- ロッツ「触りたくはないな。取敢えず、剣でつついてみるか」
- と言って、下水の中に入ろうとした。
- クリス「そのまま入るのか? 滑るとマズイぞ? そのままだと流されるぞ」
- ロッツ「アウグステまで行ってらっしゃい、ってな感じか?」
- クリス「アウグステで止まりゃー良いけどな。海にドボンっていったりして」
- 滑るとマズイから、誰かロープ持っていれば、ロッツに縛っておいて、ロッツ、持ってく?
- ロッツ「……それって、飛び込んでも助けたくないって事か?」
- いや、だって、結構流れ早く、ない?
- ロッツ「わ゛かったよ。もういいよ。頼らないよ」
- と言って、自分で壁に楔を打ちつけてロープを縛り始めた。
- シルビス「解った。端を持ってるよ」
- ロッツ「いや。持ってても、こっちが流れるのが早かったら、そっちも巻き添えくって流されるかもしれないから。こっちの方が良い」
- と言って、流されないようロープをしっかり縛って、下水の中を歩いて行った。
- ロッツ、取敢えず、転ばないで歩いて行った。
- 真ん中ぐらいまで行って、剣でつついて調べ始めた。
- クリス「……そう言えば、誰か、水上歩行の魔法持ってなかったか?」
- 汚水を真水にするとか、水中呼吸可能にするとかの魔法あるから、あってもおかしくないか。
- …………。
- すっかり忘れてた。あった。ウォーター・ウォーキング。
- クリス「それやってれば、もっとあっさり出来たよな」
- ロッツ「………………………………いいよ。もう」
- えーっと。ごめんロッツ! 今からでも掛けた方が良いかな。
- クリス「もう遅いよ。もうやっちゃってるんだから。今頃そんな事言っても、ロッツがむっとするだけだぞ」
- 取敢えず、謝った。
- ごめんロッツ。ごめん。ごめんー、ロッツーーー!
- ロッツ「早く言えよー! 俺にこんな事させるなよ!」
- クリス「ロッツ。取敢えず、あんまり怒鳴ると、滑るぞ」
- ロッツ「あぁあー、ミスリル銀が。しっかし、この剣だけじゃ水がかなり濁ってて良く解らないな。やっぱ手で触って調べるしかないか」と言って、下水の中に手を入ようとした。
- クリス「なぁ、やっぱり、このくらいの速さなら、もしかして、さっき言っていたピュリフィケーションで真水に出来るんじゃないか?」
- でも、すぐ下水になると思うけど。
- シルビスも「流れてるから、少しだけじゃ」
- うん、だから終った後に掛けようかなと思って。
- クリス「んなもん、掛けてどうするんだよ。え゛ー? 終った後に」
- いや、10リットルに対して真水に出来るから、体に付いたのだけ綺麗にしておこうかなと思って。
- シルビス「成る程ー。臭いだけはね」
- そうそう。臭い消しに。
- ロッツに突っ込まれた「洗濯機かぃ」
- ………………うん。そうだね。まさしくそのとおり。
- ところでクリス、「……あーりん」と何だか複雑そうな顔で名前呼ばれても、何言いたいのか解らないよ。そんな後ずさりして、どうしたの? と聞こうとしたら、ロッツに「自分に匂いが移るのが嫌だから、か?」と言われた。
- え~? そんな事無いよ~。
- クリス「……すげーな。恐ろしい」って、何?
- ロッツ「……いいよ。探す」と言って、下水の下の床を触りながら「後でピュリフィケーションしてくれよな本当に。言ったんだから」
- もちろん! だから頑張ってねー。
- シルビス「ロッツ可哀相に。良かったシーフ技能無くて」
- クリス「まったくだな」
- だって、忘れてたんだもんー。ちゃんと終ったら掛けるし。
- 排水溝の真ん中に一ヶ所、凹みがあって、何かをはめ込むような形になっているそうだ。
- クリス「はめ込む?」
- シルビス「もしかして杖?」
- ファナの?
- ロッツ「でも、ファナ来たがるかなー?」
- シルビス「杖だけ渡せば良いんじゃない?」
- クリス「いや。ファナが持ってないと意味が無いんだよな」
- ロッツ「うん。だから、ファナがこっち来たがるかなー」
- ファナ行くの? クリスのお陰で魔法思い出したし魔法使えるからー、と思ったので、そっか、じゃファナに掛よっと、と言ったら、
- クリス・シルビス・ロッツ「………………」
- 何? どうしたの? 私変な事言った? と聞いたら、
- ロッツ「………………。俺には?」と言われた。
- ロッツはもう下水に入っているから、今更じゃない。
- ファナ、掛けるねー。
- ロッツ「なんでお姫様には掛けて、俺には掛けてくれないんだよー」
- シルビス「ロッツ、哀れ」
- クリス「後で慰めてやろうなー」
- ロッツ「いいよ、後でピュリフィケーションもらうから」
- とか好き放題言われた。
- だって、ロッツの時はその魔法、忘れてたんだもん。もう、思い出したからー、掛けられるしー。やっぱり、ファナか弱そうだから滑って転んで流されたら大変だからー、それに女の子だしー。ファナにウォーター・ウォーキング掛けよっと、あ、でもその前に、汚れないようにその辺りだけピュリフィケーション。
- と魔法を掛けたら、そこら辺一体綺麗になった。
- 流れ大して早くなかったんだなー。
- ロッツ「ひでーよー」
- クリス「これが男と女の差なんだな。お姫様にそんな事させて後で何が起こるか解らないとか思ってるだろ」
- んー、というより、見た目がねー。ファナが汚水に塗れるのなんて見たくないなーって感じで。
- ロッツはー、えっとー………確か……そう! 『水も滴る良い男』!!! ね? これって、男の人は水に濡れても大丈夫って意味よね?!
- さてと、そこら辺一体綺麗になったからー、
- クリス「じゃー、これで俺達も安心して入れるな」
- そうだね。入ってみようか。
- ロッツ「……で? 俺の扱いって、ナニ?」
- えー? だって掛けてみるまで、そこら辺一帯綺麗になるって解らなかったんだもん、仕方無いじゃん。次からは使える魔法忘れないようにするから。とにかく、過ぎた事はしょうがないし。ロッツ共々綺麗になったことだし、結果良ければOKよね~? と思った。
- 皆でその凹みの場所まで行って、どんななのか調べてみた。
- ちょうど、アウグステの杖の握りに付いているアウグステの憂いがちょうど当て嵌まるような凹みたい。
- 杖から憂いは外れないから、杖に付いたままで当て嵌めてみようか、と言う事になった。
- ロッツ「お姫様やってくれ」
- ファナ「わかりました」
- と言って、杖をカシャッと嵌め込んだ。
- その瞬間、水の流れが完全に止まった。
- 水がどんどん逆流していき、引いていった。
- そこへ、浅海からの綺麗な水が入ってきて洗われ、その水も奥に消えていき、水が全て無くなった。
- そして、私達が立っている場所からアウグステ側に降りる階段が出現した。
- 降りて行こう、という事になり、警戒しながら降りる事にした。
- 降りるうちに、ロッツが、モンスターの反応があるが、危険感知では特に無い、と言う。
- え? 何だろ? と思ったら、
- クリス「あ、そうか! だって、アレじゃないか? 皆ゾンビ状態って言ってなかったか?」
- ロッツ「あ、まさか、ノーライフキング?」
- シルビス「その人達?」
- その階段の袂に1人の老人が立っていた。
- 私達に敵意は持っていないようだった。
- その老人が持っている杖は、ファナが持っている杖と全く同じ物だった。その老人は、モンスター名『レイス』、アンデット、人並み、それ以上の知力を持つ。
- シルビス「貴方は誰ですか?」
- 老人「我が名はアウグステ」
- クリス「え゛ー!?」
- シルビス「アウグステ一世?」
- ロッツ「一世??」
- 居なくなったんじゃ無かったのかー? と思った。
- 名乗った老人は、そのまま背中を向けて歩き出した。
- シルビス「ちょっと待ってください」
- 取敢えず、ロッツがファナの手を引いて、皆でその老人に就いて行った。
- シルビス「ファナ、あの人見た事ある?」
- と聞いたが、ファナびっくりしていてすぐには答えられないような感じだった。
- 見た事あるからびっくりしたの? それとも、名前にびっくりしたの? と聞いてみた。
- ロッツ「衝撃受けてるんじゃないか? とにかく、早く」と言って、手を引いて行った。
- 老人は一度ちらっとこちらを見て「姫様こちらです」と言った。
- クリス・シルビス「姫様?」
- 一世が姫様って言うわけ?? なんなの?? と私達が混乱している間にも、老人はスタスタ歩いて行く。
- クリス「取敢えず、行こう」
- ロッツ「付いて行こう」
- 老人に付いて行きながら、ロッツぼそっと「付いて行って大丈夫なんだろうな」と言ってたけど、そんなの行ってみなけりゃ解らないよ。
- 付いて行くと、また再び下る階段を降りて行った。
- もう、大分地下に潜ったんじゃないかって時に、何処かの王宮の一部のような建造物、ただし、光は地下の為、蝋燭の光程度の場所に辿り着いた。周りは、誰も居ない。ただ王宮のようなものがあるだけだった。